自由ソフトウェアを通じた国際協力
自由ソフトウェアを通じた国際協力
Section titled “自由ソフトウェアを通じた国際協力”自由ソフトウェアのソリューションは、民主的なガバナンスから自然災害の防止まで、政府がさまざまな課題に対処することを支援しています。中には、一つの国で導入されるだけでなく、国境を越えて共同開発されているプロジェクトもあります。Consul、GNU Health、X-Road、CKAN といった代表的なプロジェクトは、国境を越えた協力における自由ソフトウェア・ライセンスの可能性を示しています。
自由ソフトウェアを通じた国家間の協力は、イノベーションの促進、経済発展の向上、自律性と持続可能性という価値の保護に役立ちます。既存のソフトウェアを国境を越えて再利用・共有することで、貴重な時間とリソースを節約し、協働を促進し、組織、行政機関、各種機関の間でのデータ統合を簡素化できます。たとえば、ドイツ連邦経済協力開発省は、資金提供を受けるプロジェクトにおいてオープン標準と自由ソフトウェア・ライセンスを利用することを推奨しています。それが、将来の協力につながるきっかけとなり得るからです。
「各国で5種類もの異なる市民通報プラットフォームを構築することは、かえって逆効果になる可能性があります。しかし実際には、異なるNGOや開発協力機関が、似ているものの互いに競合するプラットフォームを導入することがよくあります。このような重複を避けるには、地域の組織や他の団体が類似の取り組みをすでに実施していないか確認し、存在する場合には連絡を取るべきです。」1
— ドイツ連邦経済協力開発省
行政機関や公的組織によって開始・資金提供された自由ソフトウェア・プロジェクトは、すでにさまざまな機能を提供しています。これらは、世界中の市民が利用できる有用なソリューションを通じ、高い水準の国際協力が実現できることを示しています。
X-Road
Section titled “X-Road”X-Road は、公共部門と民間部門の組織が、情報システムのデータベースを国際的に接続する仕組みを提供します。この大規模システムの柔軟性は、市民と行政職員の双方にメリットをもたらします。X-Road を通じてデータを直接交換することで、機関は時間、リソース、コストを削減できます。一方、その分散型構造によって、交換される情報の可用性、完全性、機密性が確保されます。X-Road はエストニア政府によって開始され、15年間にわたり継続して運用されています。たとえば2017年には、多数の機関、データベース、サービスを接続し、5億6,330万件のシステム照会を処理しました。これにより、推定で800年分の労働時間が削減されました。
CKAN(The Comprehensive Knowledge Archive Network)は、データの公開、共有、検索を効率化するためのツールを提供します。コンテンツ管理インターフェースを通じて、データへのアクセス性と有用性を高めます。利用者は、専用のタグ付けを利用して検索性を向上させ、カタログを整理することができます。そのため、31か国の政府がオープンデータ・プログラムで CKAN を採用し、市民が国内の大規模なデータベースを容易に検索できるようにしています。個々の国だけでなく、EU Open Data Portal でもこのシステムが導入されており、EU加盟国に関する調査結果などへアクセスできます。CKAN は Open Knowledge Foundation のプロジェクトであり、同団体がコードベースを維持しています。
GNU Health
Section titled “GNU Health”GNU Health は、公衆衛生インフラと社会医学の管理のための情報システムを提供します。このプロジェクトは2008年、農村地域における疾病予防を支援する目的で始まり、その後、国際的な開発チームによる大規模な医療データ情報システムへと発展しました。国連大学をはじめ、世界各地の機関で採用されています。GNU Health はモジュール方式を採用しており、医療機関ごとの具体的なニーズに応じて、さまざまな機能を組み込むことができます。優れた拡張性を備えているため、個人から国レベルの公衆衛生機関まで、さまざまな場面で利用できます。
Consul
Section titled “Consul”Consul は、市民が自治体の意思決定に参加し、電子投票を行い、プロジェクトを支援し、特定の課題に関する請願を作成できる仕組みです。都市行政向けに特別に開発されたソフトウェア・プロジェクトで、世界各地の90を超える地方政府・中央政府によって利用・開発されています。もともとはマドリード市議会によって開発されたもので、フォーラム形式の議論や提案を行うためのプラットフォームを提供します。予算に関する議論や、法制度に関するプロセス向けに利用者がカスタマイズできるページなども含まれています。Consul は自由ソフトウェアであるため、政府機関が自由に導入できます。開発者もプロジェクトに参加できます。コードを共同で構築し利用することで、ソフトウェアそのものがコミュニティの一部となっていきます。
Footnotes
Section titled “Footnotes”-
German Federal Ministry of Economic Cooperation and Development, “Toolkit – Digitalisation in Development Cooperation and International Cooperation in Education, Culture and Media”, 2016, p. 91. ↩